認知症というと、高齢者がなるものだという固定的なイメージがありますが、
64歳以下で発症すると言われている「若年性痴呆症」の患者が
少しずつ増えていると言います。
また、症状が出ていてもまだ気づいていない段階の、
若年性痴呆症予備軍は291万人とも。
こう聞くと、他人事とは思えなくなってきますよね。
では、若年性痴呆症の気を付けるべき症状と、
認知症が発症しないためにできる対策法をまとめていきたいと思います。
目次
若年性痴呆症とは?
若年性痴呆症(または認知症)というのは64歳以下で発症する認知症の総称です。
物忘れなどが目立ってきても、若いから大丈夫だろう、
まさか認知症なわけがないだろう…という考えから、気づくのが遅いという特徴があります。
また、医師に診てもらっても、同じく年齢が若いという点から、
更年期障害や精神障害と間違われてしまうことさえあり、
診断されるまでに時間がかかり、知らない間に状態が進行している
という怖さを持っています。
発症の平均は51歳で、認知症と同じく大きく分けて、
アルツハイマー型と脳血管性型とがあります。
・アルツハイマー型認知症
認知症の中で、より女性に多く見られる型で、近年増加傾向にあると言われています。
アルツハイマー型は能の中で特殊なたんぱく質が増えてしまったために、
脳の神経細胞が壊されて死んでしまうために起こります。
また、脳自体にも萎縮がみられるようになり、
だんだんと身体機能にも問題が起こると言われています。
アルツハイマー型の特徴は、最近起きた出来事を忘れてしまう傾向があり、
脳の記憶をつかさどっている海馬に異変が起こること。
じわじわと進行しているため、記憶障害が起こっていると解った時には、
既に海馬がかなり病変していたというケースも少なくありません。
また他にも、判断能力の低下や、時計が読めなくなるなどの障害、
妄想や徘徊などの症状があります。
・脳血管性認知症
脳血管性型は認知症のうち2割を占めています。
脳出血などの病気によって脳の血管が病変したことによって、引き起こされる認知症です。
この場合、認知症そのものの治療よりも、まずは脳血管障害の方を
先に治療することが重要です。
また、時にアルツハイマー型と一緒に発症することもあり、
その場合は混合型認知症とも呼ばれます。
症状としては、脳の血管の中のどこに病変が起こるかによって変わるため、
物忘れをしても判断はできるなど、一貫していないのが特徴です。
また、感情のコントロールが上手くできなくなることが多く、
人によってはうつ傾向が強くなることもあります。
気を付けたい兆候
若年性痴呆症は、自分が思うよりも意外と身近にあると考えてほしい病気です。
ですが、症状に気づき、早期発見から早期治療を開始すれば症状を和らげて、
社会に適応することもできるようになります。
まずは、気を付けたい病気の兆候をチェックしておきましょう。
・生活に支障が出るほどに記憶力が低下した
例えば、今日の日付、人の名前、今からやるべきこと…など、
完全に忘れてしまっているという場合です。
普通の物忘れの場合は、後で思い出すことができたり、
人から聞けば「ああ、そうだった」となりますが、
若年性痴呆症の場合は「ああ、そうだった」とさえ、思うことができないのです。
・計画を立てて行動ができない
料理をするときに、段取りができなくなったり、これまでできていたことが
急に段取りが悪くなったりします。
・これまでやり慣れたことができない
毎日通っていたところへ行けなくなったり、運転ができなくなるなどの症状が現れます。
また、お金の管理などもずさんになり、いくら使ったかを
把握できない状態にもなってしまいます。
・話したり書くことが難しくなる
同じ話を何度も繰り返したり、伝えたいのに言葉が出てこなくて
会話にならなくなります。
老化でもこうしたことはありますが、通常では単語に詰まる程度で、
会話にならないほどの沈黙にはなりません。
・周囲と関わるのをやめる
物事への興味や関心が薄れてしまうことがあり、友人との付き合いや趣味、
仕事を急に辞めてくるなどの行動をします。
少し、うつに似た症状ですが、うつの場合は
頭痛などの身体的な症状も出るのでうまく見分けを付けていきましょう。
・人格が変わる
これはアルツハイマー型に多い特徴で、強い感情の変化に揺さぶられるようになります。
不安、怒り、悲しみ、いらだちなど、そういった感情の処理に困って、
周囲に当たり散らしてしまうこともあります。
温和な人だったのにおかしいなとか、悲しくなるようなことを言っていないのに
泣いているなど、感情の揺れが激しいと思ったら病気を疑った方がいいかもしれません。
若年性痴呆症の対策
上記のように、少し注意していればわかるような兆候が複数ありますが、
どれも、自分自身で気づくのは難しいという面も持っています。
若年性痴呆症を悪化させないための対策は、早期発見がとても重要なこと。
だからこそ、早期発見や早期治療には家族などの
周囲とのかかわりが重要となってきます。
そして、家族に指摘されたらすぐに病院を受診し、
自分が若年性痴呆症にあてはまるのかどうかの検査を受けましょう。
もしも、病気にあてはまっていたら、医師と相談して
治療の流れをしっかり把握しましょう。
そして、家族とも話し合い、自分がどんな治療を受けるのかを、
同じように把握しておいてもらいましょう。
また、家族や周囲の人は、対応の仕方を学んでおくことで、
若年性痴呆症の人とのかかわり方がとても楽になります。
・質問にはしっかり答えること
・怒らずに対応すること
・薬は本人ではなく家族側で管理すること
・外出には付き添うこと
などを心掛けておくと、大きな問題にならずにすむでしょう。
また、病気がわかった本人は、脳の病変を少しでも遅らせるように、
漢字を書いたり、簡単な計算ドリルを毎日行うことで脳に刺激を与えるといいでしょう。
病院での治療の他に、自主的に脳に良いことを行うことが、
病気への何よりの対策です。
まとめ
若年性痴呆症は、早期発見をし、早期に治療を始めれば
症状を和らげることができる病気です。
だからこそ、日々に見られる兆候を見逃してはいけないんです。
そのためには本人ももちろんですが、周りの人や家族の観察眼も必要不可欠なので、
「おかしいな?」と思ったら病院へ行く話をもちかけるなど、
積極的に治療を奨めてあげるようにしましょう。
病院での投薬治療が主な対策方法となりますが、脳に良い食べ物や
脳を刺激して脳細胞を活性化させることはどんどん取り入れて、
病気に負けない精神でいたいですね。