心の病を発症する人が近年急速に増えています。
なかでも、うつ病患者はこの10年で18%も増えており、世界で3億人を上回っているというデータもあります。
うつ病などの精神疾患を悪化させないためには、早めの治療・対策が必要だと言われますが、実際に治療を受けるときに迷うのが、誰にどこで治療を受けるか?です。
代表的なのは、精神病院で精神科医に治療を受けることですが、イメージの悪さから受診に二の足を踏む人も少なくないようです。
そこで、登場するのが、カウンセラーと呼ばれる人たちです。
他にも、臨床心理士という人たちもいます。
「精神科医」「カウンセラー」「臨床心理士」の違いは何なのか?
それぞれの違いについて、わかりやすく解説したいと思います。
精神科医とカウンセラーの違い
精神科医は医者です。
したがって国家資格が必要となります。
医者であるため、薬を処方することができます。
うつ病の治療に抗うつ薬を出すなどの医療行為を行えます。
一方、カウンセラーは医者でないため、薬を処方することはできません。
また、カウンセラーは資格が必要でないため、極端に言えば、誰でもカウンセラーを名乗ることが可能です。
カウンセラーは心理カウンセラー、心理療法家、セラピスト、サイコロジストなどいろんな名称がありますが、どれも正式な資格ではありません。
こんな風に言うと、カウンセラーは怪しいと感じる人もいますが、一概にそうとは言えません。
カウンセラーは主に患者に対してカウンセリングや行動療法や精神療法を行いますが、実際に効果が出ているケースも少なくありません。
逆に、精神科医は医者ではありますが、保険点数を稼ぐために、安易に薬を処方するケースもあり、薬漬けにされたと訴える人もいます。
なかには患者の話をじっくりと聞いてくれる精神科医もいますが、多くの場合、カウンセリングはあまり行わないで、精神薬に頼ってしまう傾向があるのです。
カウンセラーと臨床心理士の違い
カウンセラーと臨床心理士はどちらもカウンセリングを主体とする仕事です。
両者の違いは、カウンセラーは資格が必要でないのに対し、臨床心理士は公的資格であること。
臨床心理士は取得するには、認定試験に合格する必要があります。
受験資格も厳しく、「日本臨床心理士資格認定協会」が指定する大学院などを修了し、1年以上の実務経験を積まないと、試験は受けられません。
上記の条件をクリアすれば、合格率は60%とまずまず高い数字となっています。
ただし、臨床心理士の資格は5年ごとに更新する必要があるため、臨床心理士としてきちんと実績を積んでいないと、資格を剥奪されることもあります。
実際、臨床心理士を持っていると、病院などへの就職・転職に有利に働くことが多いようです。
精神科医と臨床心理士の違い
臨床心理士の仕事は精神科医と連携して行われるケースが大半です。
特に、病院などでは、臨床心理士が行ったカウンセリングの診断結果を基に、精神科医が薬の処方などの診断を行うことも多く、臨床心理士は職業として、それなりの地位を得ています。
薬を使えるのが、精神科医。
薬を使えないのが臨床心理士。
精神科医と臨床心理士の違いを簡単に言えば、こういうことになります。
精神科医の受診が必要なケース
精神科医でなければできないことは薬の処方だけではありません。
たとえば、うつ病が悪化して、会社を休む場合、診断書が必要となります。
この診断書は医師である精神科医にしか出せません。
また、一定の精神障害があり、日常生活を営むのが困難と判断されたときは、精神障害者保健福祉手帳をもらうことができますが、これも精神科医の診断が必要です。
精神障害者保健福祉手帳は最寄りの市町村の手続き窓口で申請でき、重度の場合は障害年金を受け取ることもできます。
こうした支援を受けるには精神科医の診断が必要となるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
精神の不調は誰にでも起こりうるものです。
特に、うつ病は気づかないうちに進行するケースが多いので、早めの受診が必要です。
精神科の通院歴を学校や職場などに知られたくないという人は、まずはカウンセリングを受けてみるという選択肢もあります。
実際、精神科では、ろくに話も聞かず、薬を処方する医者がいるのも事実です。
民間のカウンセリングは原則的に保険は効かないというネックはありますが、症状が悪化してしまってからでは元も子もありません。
ご自身の症状に合わせて、精神科医、カウンセラー、臨床心理士を使い分けてみてください。