近年、うつ病を発症する未成年のこどもが増加していると厚生労働省の調査でわかりました。
およそ15万人ともいわれている未成年の気分障害患者は、
特に「受験うつ」と呼ばれる症状を訴える方が多いようです。
「受験うつ」とは、受験生特有のうつ病を発症しているというわけではなく、
受験時期に表れるうつ症状のことを示します。
今回は、この急増している受験うつについて、診断法と治療法を調べてみました。
急増する受験うつとは?
うつ病にはいくつかのタイプがありますが、受験期にうつ症状だということで
受診する患者さんの過半数は、受験うつと呼ばれることが多いです。
従来型のうつ病は、「何かに対する気力がわかない」「興味、関心の低下」などの
症状が多くみられました。
しかし、受験うつは、今までのうつ病とはまた違ったタイプのうつ病で、
勉強中にはうつ症状が出ているものの、自分の好きな時間や物事には
楽しめるという特徴があります。
受験うつが急増している原因
受験うつの子供が増えている主な原因として、まず、精神面が弱さが一番に挙げられます。
一昔前に比べとても豊かな世の中になった今、
ハングリー精神がない子供が急増し、精神面も弱くなったと考えられます。
これは日本に限ったことではなく、欧米など、先進国にも言えることです。
そして受験生の場合、受験勉強、テストの結果などで
保護者や自分自身が期待していた結果を得られなかったとき、
それがストレスとなり、うつ症状につながる場合が多く見受けられます。
これらが受験うつの原因と考えられています。
「受験への不安」は、誰しもがもっているものですが、
正常なものと異常なものがあり、見極めることがとても大切です。
正常なものは、勉強を促し、結果としてプラスに作用するものです。
しかし、心配と不安からくる受験うつは、
いつも背後に潜んでいるので気をつけなければいけません。
受験うつの危険な症状
異常なものについては子供のサインを見逃してはいけません。
危険な症状をまとめてみましたので、
受験生やご家族の方は、該当する項目がないか一度チェックしてみてください。
心の症状
・記憶力、集中力が低下し何事にもやる気が起きない
・自殺願望がある
・悲しみ、絶望を感じることが多い
体の症状
・睡眠障害
・食欲不振や過食
・過剰な疲労感
これらの症状は通常2週間以上たてば、
嫌なことがあっても心は回復していくのですが、
2週間以上たっても上記のような症状が続く場合は、
異常な受験不安だと考えられます。
その場合はお近くの精神科、または心療内科を受診 してみましょう。
もし専門の治療が必要な場合は、症状に見合った専門機関を紹介してもらえます。
行きたがらないお子さんもいらっしゃるでしょう。
まずは保護者だけでも相談してみましょう。
受験うつの治療法
次に気になる治療法ですが、最近は薬に頼らない治療法が注目されています。
これまで日本では、抗うつ薬を使ったうつ病の治療が進められていました。
従来の三環系抗うつ薬に比べ、SSRIやSNRIは、抗副作用がかなり軽減されますが、
まだ脳が未発達な未成年が服用すると、かえって自殺のリスクを高めてしまう場合があると、
研究でも発表されているため、使用には十分な注意しなければいけません。
投薬以外の治療方法もたくさんありますので、まずは医師に相談し、治療法を選択しましょう。
症状によっては、受験勉強の方法改善、生活習慣を見直す、
これらのことで通常の受験勉強ができるまで半年ほどで回復するケースが多くみられます。
全体の7割以上が、受験不安のコントロール改善ができているようです。
治療法として大切なことは、受験生にひとりひとりの脳機能にしっかりと合った勉強法を、
その都度選ばないといけません。