木酢液とは、炭焼き窯で炭を焼く際に出る白煙を冷却し、水滴となった液体を集めて精製したものです。
きちんと精製された良質の木酢液は、飴色や少し赤味がかったロゼワインのような色をしています。
精製する前の木酢液は茶褐色をしており、これを数ヶ月間静置し、底に沈殿したタール状、及び上面に浮いた不純物を取り除くことにより前述したような綺麗な色になります。
そして、蒸留して得た液体が天然有機酸を多く含んだ蒸留木酢液です。
主成分は酢酸で、他にも約200種類以上もの有効成分が含まれています。
木酢液は木の栄養分を多量に含んだ、木のエキスのようなものなのです。
木酢液の効果
木酢液の主成分である酢酸には、次のような効果があるとされています。
○害虫対策
・200~300倍程度に薄めたものを葉面散布することにより、葉が空に向かって立ち上がるようになるので、葉の裏に付く害虫を駆除できる。
・木酢液は浸透性に優れており、有効成分は植物に浸透し、油脂分が葉の表面などに残る為、葉などをコーティングする作用がある。
・木酢液の臭いを害虫が嫌い、寄り付かなくなる。
○土壌改善
・土壌に灌注することにより、固く締まっていた土が通水性、通気性の良い酸素を多く含んださらさらとした状態になり、植物の根の成長が著しく助長される。
・根ぐされや根に関係する病気にかかりにくくなる。
・高くなっていた土壌pHを弱酸性に戻す。
○肌トラブルの解消
・除菌、炎症を抑える、かゆみを止めるなどの働きがあるため、アトピー性皮膚炎や乾燥肌、あせも、水虫などの肌トラブルに効果がある。
・肌を若返らせる、潤わせる効果がある。
・血行を促進し、冷え症を改善する。
・ お風呂に木酢液を入れることにより、血液の循環がよくなり温泉に入ったようにストレスが解消される。
・入浴剤、消臭剤、殺菌剤としても使われている。
このように、木酢液には様々な効果が期待できます。
木酢液の微小生物の増殖効果についてはいくつもの実験報告がなされており、土中の微小生物の増殖をもたらすパワーを持っているため、土壌を活性化させていると考えられます。
微小生物が増殖した土壌では、蓄積された肥料を含む有機分が十分に分解され、酸素を多く含む通気性のよい状態となるため、植物の根が健康に発達し、その結果植物が元気になると考えることが出来るでしょう。
しかし一方では、高濃度の木酢液は確かに優れた殺菌効果がありますが、適度に薄めたものでは殺虫効果は認められていないどころか、農薬による影響で弱っていたミツバチが木酢液を地上散布した結果元気に飛び回るようになったという事例もあります。
木酢液の効果は体質や症状によって異なる
害虫対策については、経験的な実践結果からこう考えられているにすぎません。
さらには、木酢液を農薬の効果をうたって販売することは「農薬取締法」で禁止されています。
また、「アトピーがよくなる」とうたって販売することも、消費者に医薬品と誤認させかねないので、「薬事法」に違反するおそれがあります。
アトピーを治すメカニズムとして、木酢液には殺菌作用があるということです。
そして、タールが欧米ではるか昔から民間療法として、炎症をおさえたり、かゆみをおさえたり、殺菌作用があるとされてきました。
そういったことを根拠に、「アトピーに効く」として使われているようですが、これは客観的なデータで、効果が示せているわけではありません。
まだランダム化比較試験などのデータがないので、効果をきちんと評価することができないのが現状です。
このため、木酢液のみで治療をするのは、体質や症状によっては、木酢液が皮膚に刺激となってアトピーが悪化することも考えられます。
湿疹がある状態で、木酢液を入浴剤として使うのも、おすすめできません。
まずはきちんと有効性が確認されている、標準治療で皮膚をいい状態にしてから、ちょっとずつ試してみるとリスクは避けられるかもしれません。
刺激による「もしもの悪化」を頭におきながら、治療の補助程度に使うのが安全なのではないでしょうか。
このように、木酢液は万人に適した「万能薬」的なものとは考えにくいです。
人間には全ての人の顔が同じでないように、個々の体質というものがあります。
一部では、「これを使えばトラブル解消」とも言われていることもあるようですが、これは真実とも言えません。
しかし、樹木は、炭焼き釜の中で焼かれ、その命が完全に失われようとする直前に体中に残っている“命の源”を白煙という形で発散させます。
この、樹木の“命の源”を集めて凝縮したものを私達は木酢液と呼んでいます。
貴重な樹液であることにはかわりありません。
木酢液は、森林の「気」の力がありパワーがたっぷり含まれています。
木酢液の香りは、自然の懐かしい香りでイライラした気持ちをおだやかに鎮め、ストレス解消にもなります。
木酢液から「気」のエネルギーを取り入れ、自然志向の生活を続ければ、健康な暮らしができるようになるのではないでしょうか。