最近は様々な保険商品が登場していますが、どれを選んでいいかわからないという人は多いと思います。
ある程度の年齢になると、保険の見直しをした方がいいと言われますが、とにかく種類が多すぎます。
管理人もいろいろと調べてみましたが、どの保険も保障は似たり寄ったり。
正直、たいして変わりがないんじゃないと思っていました。
そんな中、ちょっと面白い保険を見つけました。
それは「トンチン」というおかしなネーミングの保険です。
トンチン保険、トンチン年金という言い方もされるみたいです。
この保険がこれまでの保険と決定的に違うのは、保障の考え方です。
通常の生命保険は「死亡保障」ですが、トンチン保険は「生存保障」なのです。
わかりやすく言えば、長生きすればするほど得する保険です。
「トンチン年金」は生き残った人のために先に死んだ人の掛け金が使われます。
死亡者の持分が生存者に移行することにより、生存者により多くの給付が与えられます。
その割合のことを「トンチン性」と言います。
そこで、この「トンチン年金保険」について、わかりやすく解説したいと思います。
目次
トンチンとは?
実は、トンチンの歴史は古く、17世紀にまでさかのぼります。
この保険を考案したのは、イタリア人銀行家のロレンツォ・トンチ。
トンチンは、この銀行家の名前に由来しています。
トンチン保険は以下の条件で考案されました。
・加入者が払った元本の総額に対する一定の利息が支払われる
・満期以降、生存している人は元本+運用益を受け取れる
このように長生きするほど給付金をたくさんもらえるという仕組みになっています。
悪い言い方をすれば、死んだ人が納めた保険を自分のものにするということです。
一方、満期前に死亡してしまうと、払い込んだ保険金は元本割れする危険性があります。
日本で販売されているトンチン年金保険
現在日本では、完全なトンチン保険は販売されていませんが、「トンチン保険の性質」を持った保険は発売されています。
では、具体的な商品をみていきましょう。
グランエイジ(日本生命)
この保険は50歳~87歳まで契約可能です。
ちなみに、50歳~70歳の期間に積み立てた資金を70歳から年金として受け取る場合の支払額と受取額は以下のようになっています。
・支払総額 男1218万6600円、女1500万6240円
・年金額 男60万円、女60万円
女性の保険料が高いのは、男性より平均寿命が長いためです。
この保険の場合、支払額が元本を上回るのは、男性90才、女性95才になります。
つまり、90歳までに死亡してしまうと、損をしてしまう訳です。
しかし、この保険は人気があるようで、発売1年で4万件を超える契約がありました。
ながいき物語(第一生命)
日本生命のグランエイジに対抗して発売された商品です。
この保険は50歳~80歳まで契約可能です。
55歳加入で、70歳支払い完了で計算すると以下のようになります。
・支払総額 972万円
・年金額 男50万1900円 女40万4000円
元本を上回るのは、男89才、女94才となっています。
トンチン保険に加入した方がいい人、しない方がいい人
いずれのトンチン保険も90歳まで死亡すると、損をすることになります。
現在、男性の平均寿命は80.79歳、女性は87.05歳(2015年調査)ですが、おおよそ5人に1人は90歳以上生きると言われています。
自分は90歳までは必ず生きるという自信がある人は加入した方がいいかもしれませんが、いずれにしろ損を覚悟する必要はあります。
トンチン保険の良さは、損得よりも老後の安心を買うことです。
人間、年を取れば取るほど、お金の不安が大きくなります。
老後資金の準備が十分にできていないという人には向いていると言えるでしょう。
公的年金にプラスアルファしたいという人は検討してもいいと思います。
公的年金でトンチン性をもたせる方法
元本割れリスクのあるトンチン保険ですが、こうした保険に加入しなくても公的年金にトンチン性をもたせる高める方法があります。
それは公的年金保険を繰り下げ受給することです。
厚生年金は65歳から受け取れますが、今の制度では受け取り開始年齢を遅らせることができます。
そうすると、1ヶ月単位で、受給額が0.7%ずつ増えます。
1年遅らせれば年間の年金受取額が8.4%増えます。
70歳から受け取るとして5年延ばせば、何と年金額は42%増えるのです。
この繰り下げ受給は年金財政に苦しむ政府の策略と批判されることもありますが、65歳を過ぎても働ける人にはメリットは大きいと言えるでしょう。
まとめ
ということで、トンチン保険について解説しましたが、いかがだったでしょうか?
90歳まで生きないと、損をするというのは、ハードルが高いですが、老後の安心を買うという意味では、選択肢としてありだと思います。
特に、子供に財産を残すことを考えていない人は、たとえ損をすることになっても、死ぬまでの生活が一番重要です。
不安のない老後を過ごすためにも検討の余地はあると思います。
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