高齢化社会が進む日本。100歳以上の高齢者は6万人を超えており、長生きは当たり前の時代となってきました。
そんな長寿社会を生きるための老後資金となるのが年金です。
現在、年金支給開始年齢は65歳からですが、申請をすれば、60歳から年金を受け取ることができます。
高齢者の中には生活資金の足しにしようと、年金の繰り上げ受給を検討している人もいるかもしれません。
しかし、この年金の繰り上げ受給は要注意です。
長生きすればするほど大損してしまうことになるのです。
では、詳しく見ていきましょう。
繰り上げ受給で年金額がどんどん減っていく
65歳からの年金支給を60歳から受け取った場合、1ヶ月単位で受給額が0.5%ずつ減ります。
どれくらい減るのか?計算式は以下のようになります。
65歳からの月額支給年金−(繰り上げ月数×0.5%)=繰り上げ月額年金支給額
仮に、60歳で年金を受け取ろうとすると、
「60ヶ月×0.5%」=30%
何と3割も年金が減ってしまうのです。
一生この金額しか受け取れません。
標準的夫婦の年金モデルケース
具体的にはどれくらいの金額損するのか?
標準的な夫婦(夫40年勤務、妻専業主婦)の年金受給額は約22万円。
仮に夫婦ともに100歳まで生きたとして、60歳から年金を受け取ると、約7400万円。
しかし、受給開始が65歳の場合は、約9200万円。
その差は、何と1800万円にもなるのです。
繰り下げ受給すれば年金額はさらに増える
年金制度には繰り上げ受給だけでなく、繰り下げ受給というのもあります。
年金を受け取る年齢を繰り下げる方法です。
この場合は1ヶ月単位で、受給額が0.7%ずつ増えます。
仮に65歳の受け取りを70歳まで延ばすと、増額分は以下の計算になります。
「60ヶ月×0.7%」=42%
もし100歳まで生きれば、受取総額は約1億1300万円。
65歳から受け取るよりも2100万円も多く受け取れるのです。
60歳からの受給者と比較すると、その差はさらに広がります。
何と3900万円。
もちろん、どれくらい長生きできるかで受取額は変わってきますが、少なくとも高齢になればなるほど老後資金は潤沢になるということになります。
働けるうちはできるだけ長く働いて、年金受給を遅らせる方がいいというわけです。
国民年金も未払い部分をなくせば支給額が増える
国民年金を満額受給するためには40年間の支払いが必要です。
しかし、40年に達していない人は少なくありません。
この場合は、未払い分をさかのぼって年金料を収めると、結果的に得する可能性が高いです。
たとえば、2年の未払い期間があった場合、追加で支払うと、100歳までにもらえる年金は約136万円増えます。
未払い年金額は約40万円なので、100万円近く得する計算になります。
まとめ
ということで、年金の「繰り上げ受給」「繰り下げ受給」について、解説しました。
長生きすればするほど、年金の受け取りは遅らせた方が得だということがわかって頂けたのではないでしょうか?
もちろん、人間の寿命はわかりませんから、必ず得するとは言えませんが・・・
いずれにしろ、元気で健康なうちは、できるだけ長く働いた方がいいことは間違いなさそうです。