互いに挑発を続け、チキンレース化しているアメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩党委員長。
北朝鮮がグアム沖にミサイルを発射すれば、アメリカは報復攻撃に打って出るという見方が強まっています。
その時日本はどうなるのか?
日本ではあまり報じられていませんが、アメリカでは日本が戦場になるという報道が相次いでいます。
もし米朝開戦が現実のものになれば、日本はどんな被害を受けるのか?
その恐怖のシミュレーションを紹介したいと思います。
北朝鮮のミサイル攻撃の標的は東京
8月9日付のニューヨーク・タイムズは次のような見方を示しています。
「日本では、北朝鮮による攻撃のもっともありえる標的は東京だ。
3500万人もの人口を抱える政治・商業の中心地である」
そして、ワシントン・ポスト紙も7月25日付の記事でこう指摘しています。
「金正恩が(爆撃に)関心を寄せる場所に、東京近郊の3つの在日米軍基地(横田、横須賀、座間)がある。
ここを叩けば、東京を壊滅させられる」
アメリカの主要メディアは、北朝鮮のミサイル攻撃の標的として「日本の都市」を具体的に挙げ始めているのです。
在日米軍基地に狙いを定める北朝鮮
米軍の高官によると、もし米朝が開戦に至った場合、アメリカの軍事作戦の鍵を握るのは、在日米軍基地の存在だといいます。
北朝鮮を壊滅させるには、まず防空圏を叩く必要があるとされていますが、北朝鮮もそのことは重々わかっており、空軍の要衝を狙うはずだというのです。
その場合、ターゲットとなるのは、青森県・三沢基地の第35戦闘航空団F-16部隊。
北朝鮮は三沢にノドンミサイルを撃ち込む可能性が高いというのです。
さらに、標的は三沢基地だけではありません。
アメリカ空海軍の要衝である岩国基地や嘉手納基地も狙われる可能性が高いとみられています。
北朝鮮の攻撃に日本はどう対処する?
万一、日本が北朝鮮によるミサイル攻撃を受けた場合、どんな対抗措置をとるのか?
その時は日米が共同で北朝鮮のミサイルを迎撃することになります。
使用されるのは、日本海の常駐しているイージス艦に搭載されたSM3、そして日本各地に配備されているPAC3。
これまでの実験で、迎撃の精度はかなり高いと言われていますが、撃ち落とせなかった場合はどうなるのか?
軍事専門家によれば、それほど甚大な被害にならないといいます。
ノドンミサイルに搭載できる弾頭は、700キロが限界で、その威力は家屋を6、7軒破壊できる程度だと言われています。
しかし、問題は、その先です。
北朝鮮が化学兵器や核兵器を使う可能性
ミサイル攻撃そのものにそれほどの威力がないとしても、北朝鮮には他にも攻撃手段があります。
懸念されているのは、日本の原発施設へのミサイル攻撃。
爆撃によって放射能が漏れ出す可能性があるからです。
さらに、化学兵器による攻撃も想定されています。
もし実行されれば、甚大な人的被害が出ることになります。
軍事兵器の他にもサイバー攻撃によってインフラを混乱させるという手段もあります。
そして、最大の脅威とされるのが、核兵器を搭載したミサイル攻撃です。
可能性は低いものの、もし北朝鮮が自暴自棄になった場合、あり得ないことではないと軍事専門家はみています。
実際、かつてアメリカでは、核戦争シミュレーションが行われたことがあります。
北朝鮮が2016年に行った核実験に相当する12kt級の核爆弾が東京に着弾した場合、42万人以上の死者が出るというのです。
爆弾投下直後に約10万人が死亡。その後、放射能や火災の影響で、30日以内に約32万人が死亡するというのが、シミュレーションの中身です。
そうなれば、アメリカも核攻撃で北朝鮮に報復するとみられていますが、北朝鮮がそれを防ぐための手段がアメリカ本土に届く長距離弾道ミサイルの開発だと言われています。
アメリカの主要都市を攻撃できる核ミサイルを複数を持てば、東京を攻撃しても報復を抑止できると北朝鮮は考えているのではないかというのです。
まとめ
現在、北朝鮮は最大60発の核兵器を持っているとされています。
しかし、現状では核弾頭は日本や韓国にまでしか飛ばせないという見方が有力です。
つまり、米朝の緊張がこの先さらにエスカレートすれば、被害を受けるのは、アメリカではなく、日本や韓国なのです。
トランプ大統領の言動をみていると、米朝の緊張は今後ますます高まる可能性があります。
北朝鮮に暴発させないためには、対話による解決しかないと思いますが、それも難しい状況です。
我々が考えている以上に、日本の危機は迫っているという認識を持った方がよさそうです。