刑事ドラマを観ていると、よく出てくるのが、「警視庁」「警察庁」という言葉。
「警視」と「警察」って何が違うの?と思った人は少なくないのでは?
また、刑事ドラマには「検察庁」という言葉もよく登場しますね。
「警視庁」「警察庁」「検察庁」
それぞれの組織はどんな違いがあるのか?
そして、階級はどうなっているのか?
今回の記事ではこれらの違いをわかりやすく解説したいと思います。
警視庁とは?
警視庁は、日本の東京都を管轄する警察組織のことを言います。
つまり、東京都だけで使われる名称です。
警視庁には東京都内を10に分けた方面本部と102の警察署があります。
所属する警察官は43,566人(2017年4月調べ)で、日本最大の職員数を誇る警察組織です。
同じ警察なのに、なぜ警察庁とは、別に警視庁があるのでしょうか?
それは東京が日本の首都であるからです。
「警視庁」には東京という地域を守る役割の他に、「日本の首都を警護する」という重要な役割もあるのです。
たとえば、警視庁は都民を守る役割の他に、こんな役割もあります。
・天皇および皇族の警護
・立法府、行政機関、駐日大使館、総理官邸など重要施設の警備
・内閣総理大臣を初めとする要人の警護
警察庁とは?
警察庁は、日本の警察の頂点にある行政機関です。
内閣総理大臣の所轄の下に置かれる国家公安委員会に設置されています。
職員は7,797人(2016年7月調べ)です。
警察庁は、都道府県警察を指揮監督する立場にありますが、捜査や逮捕の権限は持ちません。
仕事は内勤が主で、警察組織に関する制度や仕組みなどを作ったり、研究したりする事務的なものが中心となります。
簡単に言えば、警察庁は現場組織ではなく、司令塔のような存在です。
検察庁とは?
検察庁は、検察官の仕事を統轄する庁です。
法務省の特別機関に属し、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁もしくは区検察庁の4つの庁が設置されています。
検察庁には、司法試験合格者のみが就ける検察官と国家公務員試験に合格した検察事務官がいます。
職員は検察官2,764人(検事1,865人,副検事899人),検察事務官等9,042人(2017年調べ)となっています。
検察官の仕事は警察から送られてきた事件について「起訴、不起訴の判断」をすることです。
警察に逮捕された「被疑者」は検察へと身柄が送られます。
警察ができるのは、捜査、逮捕、取り調べまでで、その後の処罰については「検察官」が行います。
ちなみに、犯罪を犯した者は逮捕された時点では「容疑者」
検事が取り調べの末、裁判が必要と判断したら、「被告」になります。
刑事ドラマの裁判所で検事と弁護士とやり合っているのが場面がありますが、この検事は検察官の役職のひとつです。
また、検察には、「特別捜査部(特捜部)」と呼ばれる組織があり、東京、大阪、名古屋の3つの地方検察庁に設置されています。
通常、検察官は捜査は行いませんが、特捜部は「政治犯」など重要な犯罪を担当し、直接捜査も行います。
警察官の階級と年収
警察官の階級は以下のようになっています。
「巡査」→「巡査部長」→「警部補」→「警部」→「警視」→「警視正」→「警視長」→「警視監」→「警視総監」
警察庁と警視庁では、同じ階級でも役職が変わってくることがあります。
たとえば、警察庁で「警視」は「課長補佐」ですが、警視庁では「管理官」「課長」となります。
ちなみに、道府県警察本部では、「警視」は課長、警察署では「警視」は「署長、副署長」です。
では、警察官の年収です。
大卒の警察官の年代別の平均年収を調べてみました。
30代 約700万円。
40代 860万円。
50代 900万円~1000万円以上。
50歳の警視で、約1200万円。
60歳の警視長で1350万円。
トップの警視総監、警察庁長官だと、年収2200万円とも言われてます。
検察庁の階級と検察官の年収
検察庁に属する検察官の階級は以下のようになっています。
「副検事」→「検事」→「検事長」→「次長検事」→「検事総長」
トップである「検事総長」は最高検察庁の長として、全ての検察庁の職員を指揮監督します。
ちなみに、検事になってからは20年以上はずっと検事のままで、出世スピードは遅いようです。
しかし、出世すれば高額な年収を得られます。
たとえば、東京高検検事長は約2800万円、大阪など7つの高検検事長は約2400万円。
トップの検事総長の年収は約2900万円となっています。
通常の検事の年収は、任官直後の20代で400万円、10年働いて1000万円、20年働いて1500万円くらいです。
まとめ
一口に警察組織と言っても、階級は様々で年収も異なります。
「警視庁」「警察庁」「検察庁」それぞれに役割分担があることがわかって頂けたのではないでしょうか。
警視庁と警察庁の順位を付けると、以下のようになります。
警察庁
↓
警視庁
↓
各道府県警察本部
↓
警察署
ちなみに、警視庁職員は地方公務員、警察庁職員は国家公務員です。
今回調べてみて思ったのは、検事は難関の司法試験を取っているわりに収入が思ったより少ないことです。
トップクラスに登り詰めれば、高額な年収を得られますが、そうした人はほんの一握り。
40〜50代で大手企業の管理職とほぼ同じくらいです。
そのせいか、40代で検事を辞めて、弁護士に転身する人も少なくないようです。