有名な国際マラソンには必ずペースメーカーがいます。
ペースメーカーの役割はその名の通り、レースを引っ張ること。
目的は出場選手が良い記録を出すためです。
ここまでは知っている人が多いと思いますが、他にもよくわからないことがあります。
ペースメーカーはどうやって選ばれるのか?
走るペースに決まりはあるのか?
ペースメーカーの報酬はいくらくらいなのか?
ペースメーカーは優勝してもいいのか?
そこで、ペースメーカーにまつわる様々な疑問について調べてみました。
目次
ペースメーカーの起源
ペースメーカーがレースに登場するようになったのは、いつからなのか?
その起源ははっきりしませんが、マラソン大会の主催者が依頼したのが始まりだと言われています。
マラソン人気が高まり、商業化したことで、話題作りのため高記録が求められるようになったためです。
ペースメーカーがいないと、選手同士の駆け引きが激しくなります。そのため、有力選手が前半で飛ばしすぎて後半に失速してしまい、良い記録が出にくいというのが、大きな理由でした。
しかし、ペースメーカーの存在は公にはされず、マラソン中継などで語ることはタブー視されてきました。
記録が作られたものだという批判を恐れたためだと言われています。
日本で初めてペースメーカーが起用されたのは、2003年の福岡国際マラソンだと言われています。
この大会では、大本命だった高岡寿成選手を国近友昭選手が敗り、2時間7分52秒という好タイムで優勝しました。
好記録が出たのは、ペースメーカーの存在でした。
日本陸連が初めてペースメーカーを正式に公認したことで、レースはハイペースで進んだのです。
高橋尚子選手の世界記録はペースペーカーのおかげ?
実は2003年の福岡国際マラソン以前の大会で、ペースメーカーの存在が話題になったことがありました。
それは2001年のベルリンマラソンです。
この大会に出場した高橋尚子選手は女子で史上初、2時間20分を切る2時間19分46秒という世界記録で優勝しました。
このときは4人の男性のペースメーカーがいたと言われています。
世界記録が出せたのは、影の存在だったペースメーカーのおかげだったのです。
ペースメーカーはどうやって選ばれる?
ということで、マラソンで好記録を出すために欠かせないペースメーカーの存在ですが、高い能力と技術が要求されます。
そのため、ある程度の実績がある選手が選ばれることになります。
ちなみに、2月26日の東京マラソンでは、ロンドン五輪5000メートル、1万メートル代表の佐藤悠基選手がペースメーカーを務めることになっています。
ペースメーカーが走る距離は?
ペースメーカーはどれくらいの距離を走るのか?
これには特に決まりはありません。
これまでのケースで言うと、おおよそ25〜30キロ程度走るのが多いようです。
ただし、一定のペースで走る必要があり、5キロを15分台など、主催者側の指示に従って走ります。
ペースメーカーが優勝してもいい?
ペースメーカーは好記録を出す手助けをするのが仕事ですが、完走してもいいでしょうか?
答えはイエスです。
途中で止めなければならないという決まりはなく、優勝してもかまいません。
実際、過去の大会ではペースメーカーが優勝したことがあります。
2000年9月10日に行われたベルリンマラソンの男子の部に出場したサイモン・ビオット選手はペースメーカーとして出場しました、
当初は28kmでレースをやめるはずでしたが、そのままレースを続行して優勝しています。
ちなみに、タイムは2時間07分42秒の好記録でした。
ペースメーカーの報酬は?
さて、気になるのが、ペースメーカーの報酬です。
これは選手の実力に応じて支払われるようです。
大会の規模などによって、報酬は異なり、具体的な金額は公表されていませんが、有名な国際大会だと50〜100万円以上。
実績のあるペースメーカーの場合は200万円を超えると言われています。
かなりの高額ですよね。
実際ペースメーカーの収入だけで生活している人もいるらしいです。
まとめ
ということで、マラソンのペースメーカーにまつわるトリビアをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
マラソン大会にペースメーカーがいかに必要であるかがわかって頂けたと思います。
ただペースメーカーのおかげで世界記録が生まれているというのに違和感を覚える人もいるかもしれませんね。
ちなみに、オリンピックや世界選手権ではペースメーカーは出場できません。
これらの大会は国別に出場枠が決まっているからです。
これからはマラソン大会を見るときにペースメーカーの走りっぷりに注目してみると、マラソン中継をより楽しめるのではないでしょうか。