「○○は〜という理由があるから××なのだ」という理論を人に伝える時、
現実にある理由を持ってきたり、自分の生きてきた中での常識を使って述べることなどがあります。
人が人に、何かしらの理論を説明する時には、結論に対する理由を述べなければ
相手は納得してくれません。
この時、古くから利用されてきた理論の仕方に「演繹法(えんえきほう)」と
「帰納法(きのうほう)」という論じ方があります。
この二つにはどのような違いがあるのか、普段自分はどちらに近い話し方や論じ方をしているのか、
ということを振り返ってみると面白いかもしれません。
演繹法とは?
演繹法というのは簡単に言うと、結論に達するまでに
いくつもの理由をどんどん数珠つなぎにしていく方法です。
一般論はもちろんのこと、自分が思ったことや経験したこと、
観察していて気づいたことも用いながら、そのルールにのっとって結論を導き出していきます。
<例>
↓
・青魚はDHAが豊富だ→DHAは脳のはたらきのためにとても良い栄養素だ
→さだからサバを食べると脳の働きにとても良いのだ
・雨が降ると洗濯物が乾かない→雨の日は湿気が多いからだ
→湿気が多いとニオイも発生しやすい→雨の日は洗濯には向かないのだ
演繹法はこのように、いくつもの理由をつないでいった後に結論が出てくるのですが、
そこには信憑性にかけるものが含まれることもあります。
例で挙げたものも、DHAが脳に良いという一般論がありますが、
どんな良さがあるのかという説明にはなりません。
理由付けとして正しくないこと、まだまだ不透明であることを、
使用するかもしれない欠点があるのです。
帰納法とは?
帰納法は、演繹法とは異なり、数ある事例を並べて、それを理由として結論を導き出す方法です。
たくさんある事例の中で、似ている点を見つけることによって結論を見つけるので、
どれだけ納得できる類似点を見つけるかがカギとなります。
<例>
↓
・サバはDHAが豊富+イワシはDHAが豊富+サンマはDHAが豊富
=青魚は脳に良いDHAが豊富だ(類似点は青魚)
・雨の日はいつまでも洗濯物が湿っている+雨が降ると洗濯物が臭う
+雨の日は湿気が多くカビが生えた=雨が降ると洗濯がうまくいかないのだ(類似点は雨)
帰納法は、いくつもの理由を横並びにして、そこに共通点を見出していくので、
似たような理由を数多く網羅する必要があります。
また、網羅したとしても、確率にしかならないという欠点があります。
例えば、青魚が脳に良いと言っても、全部の種類もそうなのかと言われるとまだまだ解りません。
青魚全てを調べるくらいのことをしても、確率論にしかなかない可能性があるということなのです。
まとめ
演繹法は、理由をひとつずつ繋げて結論を導くので、反対意見を持っている人、
疑問を持っている人などに、時間をかけて説明したいときに利用するのが良いでしょう。
帰納法は、いくつもの例を先に挙げておき、
「Aと、Bと、Cという理由があるからDなんだよ!」と似たような例があるから
この結論は信頼できるのだと、素早く論じたいときに向いています。
人に意見を伝える時、結論の後に理由をしっかり肉付けしたいとき、
自分や聞き手にはどちらの理論法が向いているのか、考えながら使っていきましょう。