フランス語やイタリア語などヨーロッパの言語を学んだことがある人なら、必ずこんな疑問を持ったことがあると思います。
それは・・・
「フランス語やイタリア語にはなぜ男性名詞と女性名詞があるの?」
たとえば、有名なのは、フランス語の「太陽」と「月」。
太陽は「soleil(ソレイユ)」で男性名詞、月は「lune(リュヌ)」で女性名詞です。
イメージ的にはなんとなくわかりますが、どうやって決まったのか?
疑問が残ります。
ちなみに、英語には上記のような男性名詞と女性名詞の区別はありません。
これも謎ですよね。
そこで、この男性名詞と女性名詞がある理由、そして決め方について調べてみました。
フランス語やイタリア語のルーツ
フランス語やイタリア語はもともと「インドヨーロッパ語族」の言語がルーツです。
ちなみに、ラテン語は、インド・ヨーロッパ語族の言語のひとつで、イタリック語派と呼ばれます。
ラテン語は古代ローマ共和国の公用語として広く普及しました。
一方、英語とドイツ語も「インド・ヨーロッパ語」がルーツですが、「ゲルマン語派」と呼ばれるグループに分類されます。
ちなみに、ドイツ語には、男性名詞と女性名詞に加え、中性名詞もあります。
言語を性別に分けるようになった理由
インドヨーロッパ語には、生物についてのみ男性と女性の区別がありました。
男性と女性,雄と雌を区別することが必要だったからです。
具体的には、父、母、息子、娘、雄鳥、雌鳥などですね。
それが後に生物以外を表す名詞にも広がっていくのですが、実はどういう基準で名詞の性別が分類されたのかは不明だとされています。
何らかの分類法が存在したかもしれませんが、男性名詞と女性名詞に明確な分け方はなかったようです。
男性名詞と女性名の分類の謎
名詞の性は、男性名詞だからと言って男性らしい、女性名詞だからと言って女性らしいとは限りません。
たとえば、フランス語を例にあげると・・・
・戦争(guerre)
・暴力(violence)
これらの言葉は一見男性名詞にみえますが、実は女性名詞です。
一方、鏡(miroir) は、女性名詞にみえますが、男性名詞です。
一体何が基準なのか、まったく謎ですよね。
ヨーロッパ各国の性別名詞
ここでヨーロッパ各国の主な言語の名詞の性別分類をまとめてみたいと思います。
・フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語→男性名詞と女性名詞
・ドイツ語→男性名詞と女性名詞と中性名詞
・オランダ語→通性名詞(男性名詞と女性名詞が統合されたもの)と中性名詞
※英語は古くは名詞の性別がありました、今はほぼ消滅しています。
性別と冠詞の面白い関係
英語の冠詞に「a」「the」がありますが、どんな名詞の前に付けることができます。
しかし、男性名詞と女性名詞がある言語では、異なります。
たとえば、英語の「the」にあたるフランス語の冠詞には「le」「la」の2種類。
男性名詞の前に付ける場合は「le」、女性名詞の前に付ける場合は「la」となります。
たとえば、ベンチとテーブル。
「banc(ベンチ)」は男性名詞なので、「le banc」
「table(テーブル」女性名詞なので、「la table」 となります。
外来語は男性名詞
ということで、明確な決まりがないまま、分類されてきた男性名詞と女性名詞ですが、外来語の場合は男性名詞に分類されることが多いようです。
面白い例を見つけたので、紹介したいと思います。
le sushi
le manga
le karaoké
le sumo
le judo
le tatami
フランス語では「寿司」「漫画」「カラオケ」「相撲」「柔道」「畳」など、日本語から来て現在フランス語として使われてる言葉はすべて男性名詞です。
まとめ
ということで、フランス語やイタリア語の男性名詞と女性名詞についてご紹介しましたが、最後にまとめてみましょう。
・男性名詞と女性名詞の分類法は不明
・男性っぽい女性名詞もある
・外来語は男性名詞に分類される
日本語には男性名詞と女性名詞は区別がないため、覚えるのは面倒だなと思う人も多いかもしれませんが、調べてみると、興味深い事実が出てきて面白かったです。
それにしても、戦争と暴力が女性名詞とは?
話のネタに使えそうですね。