最近は企業やお店、公共施設などでは、
障害者に対する配慮が進んでいて、
バリアフリーという言葉もすっかり定着してきました。
そんな中、2016年4月から施行されたのが、
「障害者差別解消法」という法律です。
この法律によって、一体何が変わるのか?
疑問を持つ方も多いのでは?
そこで、新しくできた障害者差別解消法について調べてみました。
障害者差別解消法成立の経緯
障害者差別解消法は2013年6月の通常国会で可決されました。
この法律の目的は文字通り障害者差別の禁止です。
法律制定の元となったのは、2006年12月の国連で採択された
「障害者の権利に関する条約」です。
同条約は障害者への差別禁止や障害者の尊厳と権利の保障を
義務づけた国際人権法に基づく人権条約で、
世界133か国が批准しています。
「日本には障害者差別を禁止する法律がない」
と国連から指摘されていたことから
法律を制定しようという動きが高まったのです。
障害者差別解消法の中身
2013年国会で障害者差別解消法が成立したとき、
実は、もうひとつの法律も可決されました。
それは「障害者雇用促進法」の改正案です。
この法律は障害者の雇用で差別をなくすというもの。
事業主に対して、募集、採用、待遇では、障害者でない者との
均等な機会を確保するよう求める内容で、
障害の特性に配慮した施設の整備を義務づけられました。
一方、「雇用以外」の分野での差別を解消しようというのが、
「障害者差別解消法」です。
法律では、行政機関による障害者に対する
「差別的な取り扱い」を禁止しています。
行政サービスを行う場合は、障害者が排除されることが
ないようすることが義務づけられています。
そして、障害のことで差別されたら、
役所の専用窓口で相談することができます。
たとえば、障害者差別をしたお店や会社などは、
役所に報告を求められ、注意を受けることがあります。
具体的には・・・
○店に入ろうとしたら、車いすを理由に断られた
○アパートなどの契約で障害を理由に入居を断られた
○スポーツクラブやカルチャー教室で障害を理由に入会を断られた
ちなみに、障害者差別解消法が禁止しているのは、
役所、会社、お店などでの差別で、個人間の差別は含まれません。
障害者差別解消法の問題点
障害者差別をなくす目的で制定された
障害者差別解消法ですが、問題点もあります。
それは罰則規定があいまいな点です。
障害者差別解消法では、違反があった場合、
直ちに罰則を課すことはありません。
繰り返し差別行為が行われた場合に報告義務が生じます。
これに対し、虚偽の報告をしたり、報告を怠ったりした場合、
罰則(20万円以下の過料)の対象になるのです。
また、法律では、障害者を手助けするための
合理的配慮が求められています。
障害のある人が生活の中で制限をもたらす
社会的障壁を取り除くとしていますが、
これは努力義務にとどまっています。
まとめ
障害者への差別をなくすために施行された
「障害者差別解消法」ですが、
法律的にはまだ改正の余地がありそうです。
とはいえ、障害を理由に差別された人が
声を上げられる制度ができたことは、
評価してもいいのではないでしょうか?
「障害者差別解消法」をきっかけに、
差別のない社会が来ることを望みたいですね。