「つくる」という言葉には3種類の漢字がありますね。
「作る」「造る」「創る」
これらの違いはどこにあるのか?
そして、正しい使い分け方は?
今回は「作る」「造る」「創る」の違いと正しい使い分け方をわかりやすく解説したいと思います。
「作る」「造る」「創る」の違いを簡単に言うと、「つくる」対象です。
対象になるものによって使い分け方が違ってきます。
「作る」を使う場合
「つくる」を漢字にするとき、もっともポピュラーなのが「作る」です。
「つくる」を一般的な表記をする場合は「作る」です。
この「作る」は比較的小さなものに使います。
例えば、「料理を作る」「模型を作る」といった場合です。
また、無形のものや抽象的なものにも使われます。
例えば、「記録を作る」「思い出を作る」などです。
「造る」を使う場合
「つくる」を「造る」と漢字で表記する場合は、基本的に有形の比較的大きなものに使います。
「ビルを造る」「船を造る」などです。
企業などが開発した精巧なロボットも「造る」を使います。
一方、プラモデルなどの小さなロボットは「作る」になります。
また、大規模な設備を使って商品を「つくる」ときも「造る」を使います。
例えば、味噌や醤油、酒は「製造」「醸造」と言い、「造」の文字を充てます。
しかし、家庭で味噌をつくる場合は、規模が小さいため、「作る」となります。
「創る」を使う場合
「つくる」を「創る」と表記する場合は、新しいものやこれまでにないものに使います。
英語で言えば、「クリエイト」、日本語で言えば、「創造」ですね。
「ゼロの状態から新しい何かを生み出す」のが「創る」です。
「絵画作品を創る」「物語を創る」などがそれに当たります。
ただし、「創る」は常用漢字ではないため、公的に使う場合は「作る」あるいは「造る」と書きます。
「作る」「造る」「創る」の違いと使い分け方
「作る」「造る」「創る」それぞれの漢字の使い方を解説しましたが、より細かい使い分けをご紹介したいと思います。
例えば、「学校をつくる」
学校という有形の大きな建物を「つくる」ときは「造る」です。
しかし理想の学校を「つくる」ときは、無形のものなので「作る」となります。
さらに、これまでにない新しい学校を「つくる」ときは、「創立」という意味となり、「創る」です。
同じ「学校」でも、目的や意味するものによって、漢字は異なるのです。
「作詞」「作曲」は「創る」を使わないのはなぜ?
「作る」「造る」「創る」の違いをみていくと、こんな疑問も湧いてきます。
「作詞」「作曲」はゼロから新しいものを生み出す創造行為なのに、なぜ「作」なのか?
作詞は「詞を創る」、作曲は「曲を創る」というのがより正確ですよね。
で、いろいろ調べてみましたが、明確な理由は見つかりませんでした(苦笑
おそらく常用漢字である「作る」が優先的に使われるというルールに則っているのでしょう。
ミュージシャンなんかが歌をつくるときは「曲作り」と書きます。
「創詞」「創曲」ってのもなんか変ですもんね。
まとめ
「作る」「造る」「創る」の違いを解説しましたが、日本語ってホントややこしいですね(笑
逆に言えば、それが日本語の奥深さとも言えますが・・・
最後に、使い分け方をおさらいしておきます。
「作る」→比較的小さなもの、無形のもの、抽象的なもの
「造る」→比較的大きなもの、有形のもの
「創る」→まったく新しいもの
「つくる」対象によって、使い分ける。
これが正しい結論と言っていいのではないでしょうか。