日本語にはいろんなことわざがありますが、おかしなものも少なくありません。
なかでも管理人が前々から気になっていたのが、「二階から目薬」ということわざ。
「二階から目薬」をさすなんて、うまく行くはずがない!
これが転じて、「物事が思うように行かない」という意味になるんだろうけど、何ともシュールな表現ですよね。
「二階から目薬」は一体どんな経緯で誕生したことわざなのか?
そこで、改めて「二階から目薬」の意味と由来を調べてみました。
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「二階から目薬」の意味
まずは「二階から目薬」の意味を辞書で調べてみました。
・二階にいる人が階下の人に目薬をさすように、思うように届かないこと。
・効果のおぼつかないこと、迂遠なことのたとえ。
・「天井から目薬」とも。
(広辞苑)意のままにならずもどかしいこと。また、回り遠くて効果のおぼつかないこと。
(大辞泉)
確かに、説明通りなんだけど、そもそも何で「目薬」なのか?
いつの時代にできた言葉なのか?
その辺がよくわかりません。で、さらに調べてみると・・・
目薬が誕生した歴史
目薬という言葉を使うくらいなので、それほど古い言葉ではないはず。
と思って、「目薬」について調べてみると、最初に点眼薬が発売されたのは1899年。
参天製薬の前身である田口參天堂が売り出したのが始まりでした。
となると、この「二階から目薬」は明治以降にできた?
と思っていたら、違いました。
すでに江戸時代からあったようです。
しかし、当時の目薬は「軟膏」でした。
軟膏の目薬を二階からさすなんて不可能でしょ?
と思って、さらに調べると、ヤフー知恵袋でこんな質問を見つけました。
「二階から目薬といいますが昔の目薬は軟膏でした。なぜこんなことわざができたのですか?」
回答は非常に丁寧で長い説明なので、かいつまんで紹介すると・・・
・江戸中期に京都の井上清兵衛が売り出した目薬が流行性の眼病に効き、評判になった
・この薬は粉末状のものだったが、水に浸して液状にしたものが用いられた
・出典元→ヤフー知恵袋
「二階から目薬」の由来
では、「二階から目薬」という言葉はどんな由来で生まれたことわざなのか?
ネットで調べていて、ヒットしたのが、「風流御前義経記」という書物の存在でした。
これは1700年に刊行されたもので、以下のような句が載っているそうです。
「二階から目薬さす仕掛け、さりとは急な恋ぞかし」
この句はどんな意味なのか?
諸説あるようですが、代表的なのは以下のような解釈です。
・二階にいた女性の美醜を男が下からからかった(花街での出来事という説もあります)
・すると、女性は「あんた目が悪いんじゃない?目薬垂らしてやろうか」と言い返した
・これに対し、男は「じゃ差してみろ!」と二階に向かってアカンベーをした
結構面白い話ですよね。
真偽のほどはわかっていませんが、情景が浮かんできて笑えます。
ということで、思い通りに行かないことのたとえとして使われる「二階から目薬」ですが、何とこれが可能かどうかを実験した人が結構いるんです。
そこで、YouTubeにアップされた動画を紹介したいと思います。
「二階から目薬」をやってみた動画
「二階から目薬って本当に成功するのか?【ドッキリ】」
・「二階から目薬」 を実際にやってみた!
頑張って何階もチャレンジしていて笑えます。
・ことわざ『二階から目薬』やってみた。
とにかくYouTubeにはかなりの数の「二階から目薬」実験動画があって、ネタとしていかに人気であるかがよくわかりました。
「二階から目薬」の類義語
では、最後に「二階から目薬」の類義語をご紹介しておきましょう。
・天井から目薬
・焼け石に水
・靴を隔てて痒きを掻く
・遠火で手をあぶる
・二階から尻焙る
いずれも「物事がうまく行かない」ことのたとえですが、こうしてみると、やはり「二階から目薬」が一番ですね。
まとめ
ということで「二階から目薬」の謎に迫ってみましたが、いかがだったでしょうか?
江戸時代の逸話も面白かったですが、何よりも実験動画をYouTubeにアップしている人が多いのは発見でした。
暗いニュースばかりが多い昨今ですが、こういったくだらないことを面白がる精神というのはぜひ大事にして欲しいものです。