近年のクレジットカードの不正利用被害額は、平成12年以降減少傾向にありますが、それでも平成25年は78.6億円もの被害が報告されています。
平成15年からの10年間の総額は、一般社団法人クレジットカード協会のクレジットカードの不正使用被害の集計結果によると、なんと1328億円を超えています。
実は、不正利用による被害は対応次第で自己責任となってしまうケースもあるのです。
クレジットカードの不正利用は、事前に準備をしておくことで被害を遭いにくくなりますし、仮にカード番号を盗難されても、すぐに対処すれば被害を最小限に抑えることができます。
では、不正利用に気づいた時にどう対処すれば良いのでしょうか?
○不正利用を明細を見て知った場合
カード会社が不正利用かどうかを状況調査し、不正と認められた場合は請求が取り消されます。
覚えがない利用が履歴に書いてあると思ったら、対応は迅速にすべきです。
カード会社は、明細がweb上や郵送で届けられてから期間内に所定の書類を提出しなければ、請求は取り消されません。
さかのぼって補償される期間はどのカード会社でも設定されているので、気がついたら早めに連絡をしましょう。
○引き落とされてから知った場合の対処
明細を確認せずに支払い日を迎えてしまい、なんらかの理由で確認できていない状態で身に覚えの無い引き落としがあった時も、まずはカード会社に連絡して下さい。
状況調査のうえ、不正と認められた場合は保険会社から損害が補填されます。
しかし引き落とされてから事実を知った場合、前述の「さかのぼって補償される期間」の条件によってご自身で負担しなければならない可能性もでてきてしまいます。
銀行口座の入出金履歴を見て、数ヶ月前の支払いに疑わしい事例があった場合、それはすでに補償の対象外になっているでしょう。
それでも一度カード会社に連絡はした方が良いのですが、補償期間が過ぎていれば自己責任扱いとなってしまいます。
暗証番号を使ってカードを利用された場合は、管理を怠ったと判断されるため完全に自己責任扱いとなってしまいます。
○カードの盗難に遭ってしまった場合
カードがないことに気づいたら、一刻も早くカード会社(紛失・盗難受付)に連絡してください。
紛失・盗難に関するコールセンターは年中無休・24時間営業なので、カードがないことに気づいたのが真夜中であっても、すぐ電話しましょう。
この電話は必ず契約者本人がかけるようにし、本人確認が済んだら、オペレーターに「カードを盗まれた」と伝えてください。
その後、オペレーターはカードの利用停止手続きを行います。
これ以降、あなたのカードは使用できなくなりますから、不正利用される心配もありません。
次にカードの再発行手続きと、警察に盗難届を出しましょう。
カード会社に届け出た時点で、カードは利用停止になり、それ以上被害が広がる心配はないと思われるかもしれませんが、不正利用の被害に対する救済措置のため、警察にも届けを出す必要があるのです。
万一、盗まれたカードを不正に利用されたとしても、それによる損害は、カード会社から補償されます。
この補償制度を利用するために、カード会社と警察の両方に届けを出しておく必要があるのです。
しかし、盗難の場合もまた、カード会員であるあなた自身に過失がある場合、補償が適用されないこととあるので気をつけなければ行けません。
もしカードを不正利用されたら、どんな被害を受けるのでしょうか。
最後にカードの不正利用による被害例を紹介します。
・勝手に買い物されてしまう
・不正にショッピングに利用されます。
セルフ式ガソリンスタンドなら、サインも暗証番号チェックもなしで給油できます。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアでも、店舗によってはサインなしで買い物できます。
インターネットショッピングでも、暗証番号なしで買い物できてしまうところが多いです(カード番号と有効期限の入力のみ)
・勝手にキャッシングされてしまう
暗証番号を知られてしまうと、ATMでキャッシングされてしまう可能性もあります。
・カードの現金化に使われる
盗まれたカードが現金化に使われる可能性もあります。
現金化は、カード会社の規約違反となる行為です。
・偽装カードが作られる、個人情報が売られる
個人情報をスキミングされると、それをもとに偽装カードを作られる可能性があり、さらに個人情報が違法な市場で売買されることもあります。
クレジットカードがハッキングされたら、何はともあれすぐに対応するのが重要です。
身に覚えの無い請求があったときは、まずカード会社の問合せデスクへ連絡を。
そして、明細は毎月チェックしましょう。
しかし、海外や海外サイトでクレジットカードを使った場合、利用した店・サイト名と明細上の記載が違うことがあるので注意しなければなりません。
さらに、カードを不正利用されないために
・カードの裏面に自分のフルネームをサインしておく(漢字のサインは外国人が模倣しにくいと言われています)。
・推測されやすい暗証番号を設定しない
NG例:4桁同じ数字(1111)、4桁連続した数字(1234)、生年月日、電話番号、住所、車のナンバー
・暗証番号を推測できるものと一緒にカードを携行・保管しない
・契約者以外は絶対に使用しない(家族であってもNG)
そして、いつ何に使ったのかを普段からしっかり把握しておくことが、不正利用が自己責任になってしまう理不尽なトラブルを防ぐ一番の対策です。