蝶と蛾の違いはなんでしょうか。
蝶は華やかできれい、蛾は地味で汚いという印象を持つ人が多いかもしれませんが、
実は蝶と蛾は同じ「鱗翅目」であり、区別するものではないのです。
また、蝶と蛾をはっきり分けているのは日本だけのようで、
ドイツやフランスなどでは1つの分類として扱っており、
国や専門家によっても違っているようです。
それでは、日本では蝶と蛾の違いをどのように区別しているのでしょうか。
蝶と蛾の区別法を調べてみました。
蝶は昼間に飛び、蛾は夜飛ぶ
一般的に、蝶は昼間に飛び、蛾は夜飛ぶものと考えられます。
そのため蝶は視覚が発達しており、華やかな色彩のものが多いのです。
ワモンチョウやフクロウチョウ、ジャノメチョウなど、
朝や夕方の薄暗い時間を好み、夜、家の灯りに飛んでくる種類もあります。
一方、蛾は夜行性で地味ですが、昼行性のものも多くいます。
また蛾は保護色のものが多く、茶色をベースとしたくすんだ地味なイメージがあると思います。
蛾は夜行性のため、派手な模様をする必要がないのです。
しかし、昼行性の蛾は蝶のように美しく、反対に地味な蝶も沢山います。
蝶はとまるとき羽をたたみ、蛾は広げてとまる
次に羽についてです。
蝶はとまるとき羽をたたみ、蛾は広げてとまるものが多いですが、
タテハチョウの仲間の多くは、羽を広げてとまります。
太陽の光で体温を上げようとするため、
そのときは他の蝶の仲間でも、羽を広げてとまるのです。
このように羽の広げ方も色々あり、慣れないと判断は難しいかもしれません。
蝶の触角は先端部がマッチ棒のように膨らんでいる
次は触角です。
蝶の触角はこん棒状と呼ばれ、先端部がマッチ棒のように膨らんでいるのが特徴です。
これは、セセリチョウの仲間を除いてはほぼ全種に言えることです。
一方、蛾は、はくし状と呼ばれ、先端に行くにしたがって細くなり、
櫛歯状になっていたり、細い毛で覆われていたりと、とても繊細に出来ています。
また、オスの蛾はくし状の触角を持ち、
同じ種類のメスの蛾は、とがった触角をしています。
これは特殊化された触角で、
オスがメスのフェロモンを探し、夜飛ぶのが理由のようです。
最後に翅棘(しきょく)です。
翅棘とは、前翅と後翅をつなぐ翅棘がついています。
これは、後ろ翅から引っ掛ける棘が出ており、前翅につながっているものです。
この翅棘は蝶にはなく、前翅の方に後ろ翅が張り出しています。
しかし、この方法は、捕まえてルーペなどで観察する必要があります。
そうでないと翅棘はとてもわかりにくく、
またヤママユガなどには翅棘がないため、見分け方としては一般的ではありません。
蝶は240種弱、蛾は5,500種以上
今日本で、蝶と蛾は何種ぐらい生息しているのでしょうか。
蝶が240種弱に対し、なんと蛾は5,500種を超えています。
蛾はこの時点で蝶の20倍以上ですが、まだ新種が見つかっているようです。
蛾は大昔から、何年にもわたり繁栄を続けてきた夜行性の昆虫です。
しかし進化の過程で、昼にも活動するものが出現しました。
そうなると必要になるのが視覚的要素で、少しずつ華やかな姿に変化したようです。
蝶は、蛾の一部が違った進化を遂げたものだと思ってもいいのではないでしょうか。
はっきりと区別するには、観察と慣れが必要です。